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アラミド繊維「テクノーラ」製ロープ

エースライン(R)

※エースラインは東京製綱繊維ロープ株式会社の登録商標です。

エースライン(R)Tとは・・・

エースライン(R)Tは、帝人株式会社が開発した高強力アラミド繊維テクノーラ(R)と、他の繊維・樹脂とを組み合わせて作られた東京製綱繊維ロープ株式会社の高強度、高弾性ロープです。エースライン(R)Tはワイヤロープと似たような太さで、同じような引張強さが得られる有機繊維ロープです。
アラミド繊維ロープの中でも特に優れた疲労性と、高い強度を有しています。

原糸の形状と物性

①形状
  原糸テクノーラ(R)は、直径12μのフィラメントを数千本で束ねています。
②物性(原糸物性の比較)
項目 テクノーラ ナイロン テトロン ガラスE-HTS ワイヤ
引張強さ 310 84 102 245 200
(kg/㎟)
引張強さ 25 8.2 8.2 - -
(g/D)
引張弾性率 7,100 560 1400 7000 20000
(kg/㎟))
破断時伸び率 4.4 18.0 10.0 3.5 1.1
(%)
密度 1.39 1.14 1.38 2.55 7.86
(g/㎠)

エースライン(R)Tの特徴

高強度、低伸度
引張強さはワイヤロープと同等で、破断時の伸び率は4~7%です。
軽量、非自転性
同じ太さのワイヤロープにくらべ、約1/4の軽さで、しかもブレード構造はロープの回転はありません。
引張疲労に強い
安全率=3の繰返し引張回数10^6回でもロープの強度低下は殆どありません。
耐摩性、耐候性、耐食性がよい
外層にポリエステル繊維等を施していますので、耐摩性、耐候性、耐食性に優れています。
電気絶縁性がよい
乾燥時の絶縁性は極めて良好ですが、湿潤時でも外層に防水処理を施したものは絶縁性に優れています。
耐薬品性がよい
化学薬品、とくに酸・アルカリに対して高い抵抗性を持っています。

エースライン(R)Tとワイヤロープの性能比較

(※)引張強さ、破断時の伸びは実測値です。
項  目 エースラインT12mmφ
008B-B
ワイヤロープ12mmφ
6×24G/O
引張強さ
(tf)
8.38 7.40
破断時の伸び率
(%)
4.92 4.3
弾性係数
(kgf/㎟)
2000~5000 4500
質  量
(g/m)
112 478
(図1)エースライン(R)Tとワイヤロープの荷重伸度曲線

エースライン(R)Tの種類・構造・規格

標準型

① 構造
形式 構造 材質 特性
008B-B 内層:テクノーラ繊維
外層:ポリエステル繊維
ブレード標準型
非自転構造
② 規格
直径
(標準)
内層・テクノーラ径
(ブレード)
外層厚 芯断面積 質量 引張強さ
mmφ mmφ mm g/m KN tf
5 4.0 0.5 6.71 21.1 12.3 1.25
6 5.0 0.5 10.6 32.2 19.3 1.97
7 5.8 0.6 14.4 41.1 26.3 2.68
8 6.5 0.75 18.2 52.9 32.5 3.31
9 7.3 0.85 23.0 66.7 41.0 4.18
10 8.2 0.9 28.8 82.6 49.4 5.04
11 8.7 1.15 34.5 98.3 59.3 6.05
12 9.7 1.15 40.3 112 69.6 7.10
14 11.5 1.25 53.7 149 90.9 9.27
16 13.0 1.5 69.1 187 112 11.4
18 15.0 1.5 92.1 243 142 14.5
20 16.5 1.75 115 299 170 17.3
22 18.0 2.0 138 356 202 20.6
24 19.5 2.25 161 415 236 24.1
26 21.5 2.25 196 493 287 29.3
28 22.5 2.75 219 554 322 32.8
30 24.0 3.0 253 633 353 36.0
(※)引張強さはアイスプライス時を示す。

密着テープ型

① 構造
型式 構造 材質 特性
108B-TB 芯:キョーレックス繊維
内層:テクノーラ繊維
中層:密着テープ
外層:ポリエステル繊維
非自転構造
内外層一体構造
② 規格
直径
(標準)
内層・テクノーラ径
(ブレード)
外層厚 テクノーラ
断面積
質量 引張強さ
mmφ mm mm g/m KN tf
8 5.8 1.1 16.3 59.7 29.0 2.96
9 6.8 1.1 21.1 71.2 37.6 3.83
10 7.5 1.25 24.1 79.3 44.4 4.53
12 9.5 1.25 37.0 113 65.9 6.72
14 11.5 1.25 50.0 147 87.7 8.94
16 13.0 1.5 66.7 186 112 11.4
18 15.0 1.5 88.9 239 145 14.8
20 16.5 1.75 111 310 170 17.3
22 18.0 2.0 133 368 202 20.6
24 19.5 2.25 156 426 236 24.1
(※)引張強さはアイスプライス時を示す。
エースライン(R)Tの物性について
エースライン(R)T008B-B型12mmについての構造、機械的性質等

供 試 体

エースラインT 008B-B 12mm
直径 テクノーラ部径 外層厚 テクノーラ部断面積 質量
12mm 9.7mm 1.15mm 40.3㎟ 112g/m

構  造

ブレード構造 非自転性、低伸度
外層ポリエステル編組 耐摩性、耐候性向上

機 械 的 性 質

1 一般特性試験
  (A) 引張強さ 8.38tf ←規格値7.10tf(アイスプライス時)
  (B) 破断時の伸び率 4.92% (~0㎏f)
荷重伸度曲線
2 クリープ試験
荷重 sf=10
0.01H ~ 168Hのクリープ 0.56%
(0.01H ~ 100Hのクリープ 0.54%)
(100H ~ 168Hのクリープ 0.02%)

耐 疲 労 性

〔 S曲げ疲労試験 〕
(1) 試験条件
張力  SF=6 , 9 , 10
D/d = 20
速度 = 15往復/分
(2) 試験方法
(3) 試験結果(切断までの往復回数)
SF = 6 → 5268回
SF = 9 → 19622回
SF = 10 → 30311

熱 的 性 質

耐熱性(原糸データ)は以下の通りです。
表2 加熱下での繊維の引張強度
※資料提供 帝人株式会社
表3 テクノーラの長期耐熱性

科 学 的 性 質

表4 テクノーラの耐薬品性
薬品名 濃度
(wt%)
温度
(℃)
浸漬時間
(hrs)
強力保持率
(%)
  < 酸 >
硫  酸 20 95 100 97
40 95 100 89
40 20 100 98
塩  酸 20 20 100 98
硝  酸 10 20 100 99
燐  酸 10 20 100 96
蟻  酸 90 95 100 82
酢  酸 40 95 100 97
  < アルカリ >
水酸化ナトリウム 10 95 20 98
10 95 100 84
ポルトランドセメント 飽和 95 100 93
飽和 180 15 70
  < 有 機 溶 剤 >
ガ ソ リ ン 100 20 784 98
ベ ン ゼ ン 100 20 784 98
メチルエチルケトン 100 20 1000 97
酢 酸 エ チ ル 100 20 1000 96
エチレンクロライド 100 20 1000 100
エチレングリコール 100 95 300 94
フ ェ ノ ー ル 100 95 300 95
N-メチルピロリドン 100 95 100 40
  < そ の 他 >
海  水 3 95 1000 98

エースライン(R)Tの端末処理方法(加工方法)

「エースラインT」の端末処理方法は、次のものが用意されています。
(1) アイスプライス加工法
① 加工方法 外層の被覆樹脂、繊維等を取り除き、芯部繊維のストランド間にストランドを差し込むことで行う。
② 差込み部の保護 差込み部は他のより糸、収縮チューブ等で保護を行う。
③ その他 コース(シンブル)の取り付けが可能。
(保護前の状態) 鉄製シンブル(コース)付 ナイロン製シンブル(コース)付
(2) 金属ソケット樹脂接着加工法
① 加工方法 外層の被覆樹脂、繊維等を取り除き、金属ソケット内で、エポキシ系樹脂を介して金属ソケットの内壁に接着することで行う。東京製綱繊維ロープ株式会社が独自に開発したPAT品。
② 接着効率 アイスプライス加工の80%以上。
③ テーパー加工 ウレタン樹脂でテーパー加工が可能。
④ その他 金属ソケットの重さの制約からロープ径18mmφまでの利用が多い。
(3) パイプロック加工法
① 加工法 外層の被覆樹脂、繊維等を除くことなく、ロープを金属パイプに通した後、そのパイプを曲げ、合金ロック止めを行う。
② 締結結果 アイスプライス加工の60~70%。
③ その他 パイプが金属製コースの代替になるが、ロープ端末は重くなる。
(4) ロック加工法
① 加工方法 ロープをアルミ素管でロックする方法で、10mmφ以下の細いロープに有効。
② 締結効率 アイスプライス加工の80~90%。
(5) ワイヤクリップ止め方式
①加工方法 ワイヤクリップは、ワイヤロープで使用するときの50%増のクリップで締結を行う。
②締結効率 アイスプライス加工の50~60%・
③その他 ロープの長さ調整が必要な時に有効。
但し、ロープの使用安全率が低い場合、エースラインTに外損を生ずる懸念がある。

ワイヤロープ及合繊ロープとの特性比較

項目 ワイヤロープとの比較 合繊ロープとの比較
引張強さ 構造・太さによるがワイ
ヤロープとほぼ同等
ナイロンロープの約2.5倍の強さ
オレフィン径ロープの約3.5倍の強さ
伸び率 ワイヤロープ(6×24)より若干多い。ワイヤロープに似た伸び方をしめす 一般合繊ロープより圧倒的に少ない
重さ 同じ直径で大気中約1/5、水中約1/15.。水中での違いが大きい。 比重1.39で一般合繊ロープよりやや重い
疲労性 ロープの構造や樹脂加工により、ワイヤロープより大幅に向上 一般合繊ロープよりやや劣る
クリープ性 ワイヤロープに近い 一般合繊ロープより優れている
温度特性 180℃以上ではワイヤロープより劣る。低温での収縮はない。 160~180℃の高温でも張力の低下が少なく、伸び率の変化もない。
腐食 ワイヤロープは腐食するがエースラインTは腐食しない 水分の影響も受けず、良好
耐薬品性 酸、アルカリに強い 酸、アルカリに強く、一般合繊ロープより優れている
紫外線劣化 ワイヤロープより劣るが改良方法により好転する 一般合繊ロープとほぼ同じ
電気絶縁性 ワイヤロープは通電性を有するがエースラインTは絶縁性に優れている -
その他 ワイヤロープに比べ、柔軟性
軽量性に富み、取扱い性に優れている
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